
今日は2回目の抗がん剤治療だ。信は仕事があり、母が同行する。午前中に血液検査とレントゲン、結果が出てから主治医の外来、そして薬剤部にオーダーが入ると抗がん剤とその他の薬が用意され、点滴がはじまる。長い1日になるだろうと想像していた。
国立がん研究センターは、いつ行っても大勢の人で溢れかえっている。自分もだが、どれだけ癌患者が増えているのだろうと思ってしまう。時間通り10時半に到着するも、すでにロビーにはたくさんの人。血液検査は20〜30分待ちだ。レントゲンはスムーズに撮れたものの、11時半の予約であった主治医の診察は、なかなか名前が呼ばれず、1時近くになった。
検査結果は2回目の抗がん剤治療をするにあたり問題は見られず、通院センターにて治療を受けることが決まった。前回は入院中に受けたため、はじめての通院治療となる。酸素を借り、問診票の記入や看護師から詳しい説明を受けた。
すると、脱毛は投与をはじめて2〜3週間後と聞いていたが、早くて9日前後に抜け始める、抜け始めたらナタリー・ポートマンのように潔く剃ろうと思っていたが、皮膚の炎症があるので止めたほうがいい、爪は割れやすくなると聞いていたが、内部が赤くなり膿んで剥がれてしまう、前回投与後2日目に気分がよかったのはステロイドの影響だろう、など、はじめて知る内容に完全に動揺してしまう。看護師に「ご不安はありますか?」と聞かれ「全部」と答えるしかなく、またも号泣してしまった。
長い待ち時間のあと、ようやく午後2時半に投与がはじまった。母はランチで場外のラーメンを楽しみにしていたが、間に合わなかった。唯一の楽しみだったのに、申し訳ない。全部で2時間弱かかるが、うとうとして1時間半が経過した頃、左肺と心臓の痛み、腸の痛み、頭痛、吐き気、体のだるさが一気に来て耐えられない。
そこに仕事を終えた信が到着。すぐにナースコールをし、まずはよろよろしながら、点滴と酸素をつけたままトイレへ向かう。戻ってベッドに腰掛け、信に背中をさすってもらい、吐き気止めを半粒服用すると、少し落ち着いた。辛すぎて涙が止まらない。帰りの車は熟睡だった。そして、夕食後また泥のように眠った。

Ayaka Morohoshi諸星 文香
1980年10月14日東京都生まれ。フリーランス。カナダの大学を卒業後、不動産開発会社や旅行会社の勤務を経て、2011年より世界の素敵なホテルを厳選した宿泊予約サイト「Tablet Hotels」に従事。現在は都内でパートナーと2人暮らし。
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