
信は時差ボケで、珍しく早寝早起きだ。病院の簡易ベッドから完全に足がはみ出している、かわいそうに。やっぱり夜は寝つきが悪く、体勢をフラットにすると呼吸が苦しくなるので、ベッドを斜め30度くらいにして寝ている。起き上がると咳き込むのが辛い。昨年入院していた時と症状が似ていて凹む。
今朝は血液検査と造影剤を使ったCT検査がある。右腕は抗がん剤を何度も点滴しているので血管が硬くなってしまい、左腕もなかなか採血が上手くいかず、造影剤の点滴も含めて朝から4回も腕に針を刺した。血液検査の結果、ヘモグロビンの値が5.7と更に下がっており、午後輸血を行うことになった。
お昼過ぎまで仕事をして、午後1時半頃はるちゃんが到着。そして、あみちゃんが美味しいサンドイッチとラタトゥイユを買って来てくれた。諸用で出かけていた信もプリンを買って戻ってきて、4人でランチタイム。
輸血は3時間がかりだった。途中、小島先生がCTの結果説明に来た。残念ながら、心臓に残っている腫瘍は前回と比べて大きくなっていた。肺に転移した腫瘍も、肺炎の影で見えづらいが、少し大きくなっているようだ。言葉が出ない。それは今回の肺炎が原因ではなく、信が指摘したとおり、アドリアマイシンの効果が薄れてきていると判断できるらしい。明後日、今後の治療方針を詳しく聞くことになった。
愕然。この2ヶ月とても体調がよかったので、てっきり一度治療をお休みできるかも、などと楽観的に考えていた。今日の話だと、抗がん剤の効果は徐々に薄れていくことが多いと言う。私の病気の場合、あと3種類ほど試せる抗がん剤があるらしいが、それをすべて使い切ったらどうなるのだろうか。また「死」というワードが頭をよぎった。
はるちゃんが帰り、気分転換にシャワーを浴びるも全く気持ちは晴れない。それどころか、今日は点滴交換の日で、また2回も失敗されてしまった。ボロボロになった腕を見ると涙が止まらなくなり、信に慰めてもらっても、ポジティブな言葉をかけられても夕方までずっと泣いていた。

Ayaka Morohoshi諸星 文香
1980年10月14日東京都生まれ。フリーランス。カナダの大学を卒業後、不動産開発会社や旅行会社の勤務を経て、2011年より世界の素敵なホテルを厳選した宿泊予約サイト「Tablet Hotels」に従事。現在は都内でパートナーと2人暮らし。
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