

夜中に目を覚ますたび、胃の異物感に悩まされている。何時間も前に食べた夕食が、そのままの形で胃に入っているような感覚だ。昨晩も1時半に起きてしまい、スマホを覗くと、福ちゃんからブログのデザインが届いていた。
明日にしようと思いつつ、気になってページを開いてみる。シンプルで、何となく思っていたデザインに近い。一旦閉じて寝ようとしたが、リクエストや相談ごとが頭を駆け巡って眠れない。忘れないようにとメモに書き出し、薬の力も借りて、ようやく眠りについたのは3時過ぎだった。
朝早くシャワーをすることにした。嫌なことはさっさと終わらせよう。髪を洗うと案の定、昨日よりも多い量の毛が抜けた。これから毎朝、耐えられるのだろうか。朝食後、信とブログのデザインについて話し合い、福ちゃんと中野さんにメールを送った。
身支度を整え、アートビオトープを後にする。まずはChusに戻り、お買い物の続き。そして近くの山道具店や雑貨店も覗いて、最後にあみちゃんオススメのパン屋さん「KANEL BREAD」まで足を延ばす。見るからに美味しそうなカンパーニュや、スープに合いそうなパンをチョイス。ついでにサンドイッチとドーナツを買い、隣のカフェでランチをすることにした。至福の時間。
午後2時前、東京へ向け出発した。順調に走り出したものの、日差しが強く、あまり気分が良くない。抗がん剤治療中、紫外線は大敵だそうだ。今日は雨予報のはずだったのに。さらに、息を吸うと時おり肺が痛む。途中のサービスエリアで後部座席に移動し、窓に日よけを作ってもらう。悲しい。助手席にも座れず、酸素を吸いながら生きている自分。外を眺めていると「なんで私が?」という思いが込み上げ、涙が止まらなくなった。心配した信が、運転席から私の膝をさすっている。
無事に帰宅しても心は晴れず、夕食後また号泣してしまった。「俺もあやが必要だから」という言葉に、ただ頷くことしかできない。薬を飲んでもおさまらない、この肺の痛みは何なのか。不安が募る。

Ayaka Morohoshi諸星 文香
1980年10月14日東京都生まれ。フリーランス。カナダの大学を卒業後、不動産開発会社や旅行会社の勤務を経て、2011年より世界の素敵なホテルを厳選した宿泊予約サイト「Tablet Hotels」に従事。現在は都内でパートナーと2人暮らし。
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