
朝4時過ぎに目覚め、その後は熟睡できなかったが、気分は悪くない。むしろ痛みもなく、調子が良いくらいだ。朝ごはんを食べ、シャワーをして洗濯機を回し、軽く化粧をする。今日は友人や妹が来る予定だ。再入院の前から作ろうと思っていた、さつまいものパウンドケーキも焼いた。
ちょうど出来上がった頃、バンクーバーに住む信のパパから電話があった。話すのは8月にセーリングをしたとき以来だ。どきどきしながらスマホの画面を覗き込むと、ウェディング写真を喜んでいる優しいユークさんの顔があった。信が私の病気のことを打ち明けた時、真剣に日本に来ると言っていたそうだ。それだけでも泣けるのに、今日は自分の状況を、素直に冷静に英語で話せたことに驚く。
11時半過ぎに、のぶちゃんがお昼ごはんを持ってやって来た。豆乳スープに豆苗のサラダ、メインは水餃子。どれも具材が細かく均等に切れていて、丁寧さが伝わる彼女らしい優しい味だった。食後お茶をしていたところに、妹がジェラートを持って来てくれた。前から気になっていた、参宮橋のFLOTO。可愛いパッケージに気分が上がるも、お腹がいっぱいで食べられない。3人はその後、私の焼いたパウンドケーキに信の特製生クリームを付けて食べていた。
のぶちゃんと入れ違いで来たのは、がみっちょと大ちゃん。この2人が一緒にいるのを見るのは、4年前、私が引き合わせるつもりもなく食事に誘った以来だ。大ちゃんはどんなリアクションをするんだろうと、少し不安に思っていたが、会えばいつもの調子。意外にも真剣に受け止めて、力強い応援メッセージをくれたのが印象的だった。
先生に「完治しない」と言われたことを人に話すのは辛い。けれど、共存という選択肢も残っているし、まだ抗がん剤の効果もわからない段階だ。家族や友人の励ましを力に、早く治療と向き合う強い心を持たなければ。

Ayaka Morohoshi諸星 文香
1980年10月14日東京都生まれ。フリーランス。カナダの大学を卒業後、不動産開発会社や旅行会社の勤務を経て、2011年より世界の素敵なホテルを厳選した宿泊予約サイト「Tablet Hotels」に従事。現在は都内でパートナーと2人暮らし。
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