

ぽかぽか陽気で穏やかな週末の朝。と言っても、私は毎日休日なのだけど。朝5時に起きると、母はすでに起きていた。白湯を飲み、フルーツを食べ、またソファでうとうとする。母が掃除や洗濯をはじめても、私はボケっとしたまま。
午前中にあつこさんが来た。Venexという疲れが取れるウェアがおすすめだそうで、お試し用のネックゲイターをくれた。フラットだと心臓が圧迫され、自由な体勢で寝られないため、肩凝りに悩まされている。今晩さっそく使ってみよう。他にも自家製のみかんの皮の粉末や、ジンジャーパウダーを持って来てくれた。
ランチはまた母と信と3人で、昨日の残りの骨付き鳥モモ肉の煮込みとクスクス。煮込みなおすと玉ねぎがとろとろになり、昨晩以上に味わい深い。所用を済ませ、母は帰宅した。午後は何だか疲れが取れず、ほとんどソファに座っていた。
午後6時を過ぎ、夕食の準備を終えたところで、今林さんから昨日のウェディング写真が届いた。全部で281枚。食後は片付けもそっちのけで、2人して気に入った写真を選んだ。1時間半で40枚に絞れたのは、まずまずのスピード感ではないか。お互いの家族にデータを送り、2人の母にはきちんとしたアルバムを作りプレゼントすることにした。自宅に飾るのは、お気に入りの数枚。これを決めるのは明日にしよう。
日記を書いている今も、体のあちこちが痛む。酸素吸入なしでは、息が苦しくなってしまう。笑顔に溢れたウェディングの写真を見ていると、思わず病気のことを忘れそうになるけれど、体のどこかに痛みを感じた瞬間、現実に引き戻される。私はれっきとした末期ガン患者なのだ。
涙がこぼれるたびに、信は「俺は本当に幸せだから」と声をかけてくれる。病気と闘っている私が魅力的だと言う。こんなに愛情を注いでくれる人がいるというのに、素直に受け入れられないのは、余計なプライドが邪魔しているせいだろう。外見が大きく変わった自分を、自分は耐えられるのか。信は準備ができていても、私はまだできていない。

Ayaka Morohoshi諸星 文香
1980年10月14日東京都生まれ。フリーランス。カナダの大学を卒業後、不動産開発会社や旅行会社の勤務を経て、2011年より世界の素敵なホテルを厳選した宿泊予約サイト「Tablet Hotels」に従事。現在は都内でパートナーと2人暮らし。
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